「英語教育は何歳から?」という疑問
「子どもの英語教育は何歳から始めるのがいいの?」
これは、子育てをしている方なら一度は考える疑問ではないでしょうか。
「0歳から始めたほうがいい?」、「3歳くらいからで十分?」、「小学生からでも遅くない?」
英語教育について調べると、さまざまな意見があります。
では、実際には何歳から始めるのがよいのでしょうか。
私は、言語聴覚士として「ことばの獲得」という視点から考えると、年齢だけで考えるのは少し違うのではないかと思っています。

こんにちは。
「ちゃ」と申します。
娘が3人います。
言語聴覚士として働いています。
コミュニケーションについて沢山考えたいです。
子供達には英語を身につけて、世界中の人とコミュニケーションを楽しんでもらいたいです。
そのために、できる事を日々考えています。
少しでも背中を見てもらえるようにと、英検1級等を取得しました。
「早ければ早いほどいい」は本当?
0歳から英語を始める=必ず英語が話せるようになるではありません。
大切なのは、「いつ始めたか」 × 「どのくらい触れたか」 × 「どのような英語に触れたか」
という視点です。
つまり、3歳から毎日英語に触れる子どもと0歳から始めても月に数回しか英語に触れない子どもでは、単純に「0歳からのほうが有利」とは言い切れません。
それでも「何歳から始めるのがいい?」に答えが欲しい!

なんとなく、「早く始めれば良いというのは分かるけど、結局何歳までに始めれば良いの?」と答えを欲しがる人もいるでしょう。
私なら、「できるのであれば、乳幼児期から始めることをおすすめします。ただし、何歳から始めるか以上に、英語に触れる環境を継続的につくれるかが重要」と結論を出します。
「英語教育に年齢は関係ありません」と耳障りの良いことを書きたいのですが、実際は関係あると思います。
関係はあるのですが、「~歳からはじめないといけない」という短絡的な結論に至るものでもありません。
つまり、「英語に触れることが早い方が利点も大きいが、早くなくてはならないというものでもない。いろんな年代で英語を獲得しやすい方法が異なるので、はじめる時に合わせた学習の仕方に気を付ければよい。」というのが結論です。
| 年齢 | ポイント |
|---|---|
| 0~1歳 | 英語の音・リズムに自然に慣れやすい |
| 2~6歳 | 遊びや生活と結びつけて英語をインプットしやすい |
| 小学生 | 学習として整理しながら身につけることもできる |
| 中学生以降 | 文法・読解などを組み合わせて効率的に学べる |
このように、年齢に応じて、英語の吸収の仕方が変わってきます。
0~1歳
「赤ちゃんが「ことばの世界」に入っていくとき」でも書いたことですが、赤ちゃんはお母さんのおなかにいるときから、周りで話されていることばに耳を傾けています。
また、赤ちゃんは乳児期には世界中で話されているいろんな言語の音を聞き分けることができるとされています。
乳児期には、さまざまな言語の音の違いを聞き分ける能力を持っています。その後、周囲で日常的に聞いている言語への経験が増えるにつれて、その言語に必要な音の違いを捉える力がより身の回りで使われる言語に特化していきます。(参考文献:Foreign-language experience in infancy: Effects of short-term exposure and social interaction on phonetic learning)
つまり、乳児期には多様な言語音を区別する能力があり、経験した言語に応じて音声知覚が徐々に特化していきます。
このことから、乳児期に英語の音に触れることは、英語特有の音の違いを聞き分ける力を育てるうえで、一つの大きなメリットになると考えられます。
「ことばを知らない赤ちゃんは、周りの音に全力で耳を傾けているので、理解できる範囲の音の違いに鋭敏に反応し、その学習をしている」ということです。
ただし、「1歳になるまでに、英語に触れないと英語を身につけることはできない」ということではありません。それ以降は音の違いへの認識は薄れてしまいますが、それ以外の要素を手がかりにことば(英語)を身につけることになるのです。
2~6歳
2~6歳くらいの時期は、英語(ことば)を「勉強」として覚えるというよりも、遊びや日常生活の中で自然に触れることで身につけることができます。
たとえば、積み木で遊びながら「block」「build」、おままごとをしながら「eat」「drink」、外で遊びながら「run」「stop」「look」など、実際の行動と英語を結びつけることができます。
この時期の子どもにとって大切なのは、「英単語を覚えなさい」と言われて覚えることではありません。目の前で起きていること、聞こえてくる言葉、そして自分がしていることが結びつくことで、英語(ことば)の意味を少しずつ理解していきます。
つまり、英語を生活の中に置くことで、「英語=覚えるもの」ではなく、「英語=何かを伝えたり、遊んだりするためのことば」として楽しんでインプットすることができるのです。このような経験の積み重ねが、後の英語の「ことばの獲得」につながっていきます。
本当に大切なのは「英語を勉強する(させる)こと」ではなく「自分で理解すること」
例えば、「apple=りんご」と覚えるだけでは、英語のことばを十分に獲得したとは言えません。
色や形はもちろん、りんごを食べて、その硬さや歯ごたえ、そして酸っぱい中に甘さがある味を感じて、「りんご(apple)」を理解するのです。
ことばは「音を聞く→意味を予測する→場面と結びつける→何度も経験する→ことば同士を結びつける→自分でも使う」という経験を積み重ねながら、ことばを獲得していきます。
「ことばの理解とは」でも書いたことですが、「自分で」理解(予測)した言葉を自分で使うことで、経験を伴って、ことばが自分のものになっていくのです。
ことばの獲得には、この自分ですること(主体性)が大切で、色々自分で考え、経験しながら獲得していくものなのです。
「英語のインプット」が重要になる
では、子どもが英語を獲得していくためには、どのような環境が必要なのでしょうか。
英語に触れる量
やはり、なんといっても英語に継続して触れ続けなければいけません。
英語を身につけるためには、まず英語に触れる時間を確保することが大切です。毎日少しずつでも英語を聞いたり、英語のことばに触れたりすることで、子どもは徐々に英語の音やリズムに慣れていきます。
ただし、単純に「英語を聞く時間が長ければよい」というわけではありません。大切なのは、子どもが意味を理解しようとしながら、繰り返し英語に触れられる環境です。
たとえば、最初は意味が分からなかったことばでも、同じ場面で何度も聞いているうちに、「この音は、こういう意味なのかな」と少しずつ結びついていきます。繰り返し英語に触れる中で、子ども自身が「これは何を意味しているのだろう」と考え、場面や経験と結びつけながら理解していきます。
つまり、英語の獲得には「量」と「継続」、そして「意味のあるインプット」が重要なのです。
親子のコミュニケーション
ここまでだと、赤ちゃんに繰り返し英語を動画などで触れさせておくだけで良いと思ってしまいそうなのですが、それだけでは充分ではありません。
子どもがことばを獲得していくうえでは、周囲の人とのコミュニケーションが欠かせません。大人から一方的に英語を聞かせるだけでなく、子どもが見たり、聞いたり、感じたりしたことに対して、大人が反応してあげることが大切です。
「これ、何だろうね(What’s this?)」「楽しいね (it’s fun!)」と声をかけたり、子どもの表情や指差しに応じたりする。こうしたやりとりの積み重ねが、ことばと意味を結びつけ、英語を「音」からこどもが「獲得したい(しゃべりたい)」と思える「ことば」へと変えていくのです。
「なぜ子どもはことばを覚えるのか」にも書いたことですが、子どもが「これを伝えたい」「一緒に楽しみたい」「分かってほしい」と感じるような、共感しあう人とのやりとりも、ことばを獲得する大きな原動力になります。
大人と子どもが同じものを見て、同じ気持ちを味わい、互いに「わかり合いたい(共感したい)」と願うとき、言葉は初めて意味をもつのです。
DWE(ディズニー英語システム)は「早く英語を勉強させる教材」ではなく……
DWEは単なる「幼児向けの英語教材」ではありません。
DWEでは、映像・音声・歌などを通して、同じ英語表現に繰り返し触れながら、場面とことばを結びつけていく設計になっています。
まず、英語の音を繰り返し聞くことで、「この音のつながりは、こういう意味を表している」という音と意味のつながりが生まれます。そこから、「単語」と「単語」の組み合わせが分かるようになり、さらに、実際の場面や行動とことばが結びついていきます。
こうした経験が積み重なると、英語の単語や表現がバラバラに記憶されるのではなく、互いにつながったことばのネットワークを少しずつ自分で形成していくことができるのです。
そして、そのネットワークが豊かになることで、「何を言っているのか」が理解できるようになります。理解できることばは、やがて自分が伝えたいことを表現するためのことばとして使えるようになっていきます。
つまり、
「音と意味がつながる」→「単語と単語がつながる」→「場面とことばがつながる」→「ことば同士のつながりが増える」→「英語の意味をより豊かに理解できる」→「その理解を土台に、自分でも使える表現が増えていく」
という事になるのです。
DWEの価値を考えるとき、この「ことばがつながっていく(つなげていく)過程」に注目することが大切なのではないでしょうか。
小学生
小学生になると、幼児期とは少し違った方法でも英語を身につけられるようになります。小学生になると、これまでに身につけてきたことばの知識や、読み書きなどの学習能力を活用して、ことばで考えることができるようになっています。そこに、「学習」として英語を整理していく経験を加えることができるのです。
たとえば、単語の意味をことばで覚えたり、文章を書いたり、読んだりする学習を通して、これまで感覚的に理解していた英語を、知識として整理していくこともできます。
つまり小学生の時期は、「英語をたくさん経験する」ことに加えて、「英語の仕組みを学びながら整理する」ことができる時期です。小学生になって身につける学習の力で、英語をより深く理解し、自分で使える力へと発展させていくことができるのです。
中学生以降
中学生以降になると、英語を「ことば」として使うだけでなく、その仕組みを意識しながら学ぶことができるようになります。文法を学んで英文の構造を理解し、単語や熟語を覚え、さらに読解やリスニング、英作文などを組み合わせることで、英語を体系的に身につけていくことができます。
たとえば、これまで何となく理解していた英文について、「なぜこの語順になるのか」「なぜこの時制を使うのか」と考えながら学習することで、英語の知識を整理できます。また、文章を読むことで語彙や文法を実際の文脈の中で確認することもできます。
このように中学生以降は、文法という「英語の仕組み」を知識として整理し、読解やリスニングの中で実際に使われている英語を確認することで、一つひとつの知識を関連づけながら学習できます。

結局、何歳から?
結局、子どもの英語教育は何歳から始めればよいのでしょうか。
0歳から始めなければいけないわけでもありません。
3歳からでは遅いわけでもありません。
小学生から始めても、英語を身につけることはできます。英語(ことば)は「勉強させる」のではなく、英語を聞き、「理解し」、「楽しみ」、「使う」のです。
そのような環境をできるだけ長くつくることが、英語の力につながります。
上記したように、始められるのであれば乳幼児期から始めることには大きなメリットがあります。特に、乳幼児期には英語の音に触れることで、その後の英語学習の土台となる音への感覚を育てやすいという特徴があります。
ただし、それは「乳幼児期を逃したら英語を身につけられない」という意味ではありません。
大切なのは、「何歳から始めたか」だけを見るのではなく、子どもが英語をどのような形で、どれだけ継続して経験できるのかを考えることです。
英語教育に「何歳から」という一つの正解があるわけではありません。年齢によって英語を獲得しやすい方法は変わります。その時期に合った方法で、子どもが英語を理解し、楽しみ、使う経験を継続できる環境をつくること。それが、年齢以上に大切なことなのではないでしょうか。



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