「英語を話せるようになりたい」
そう考えて、英単語を覚えたり、参考書で勉強したり、そして英会話教室に通ったりしている方は多いと思います。
英語を話すためには、英単語や文法をたくさん知っていれば十分なのでしょうか。
今回は、私たちが、ことばをどのように身体化しているかを考え、英語を身につける時に大切にしたいことを考えていきたいと思います。

こんにちは。
「ちゃ」と申します。
娘が3人います。
言語聴覚士として働いています。
コミュニケーションについて沢山考えたいです。
子供達には英語を身につけて、世界中の人とコミュニケーションを楽しんでもらいたいです。
そのために、できる事を日々考えています。
少しでも背中を見てもらえるようにと、英検1級等を取得しました。
もちろん、単語を知らなければ英語を話すことはできません。英語の音を聞き分ける力も必要ですし、文法の知識も必要です。
しかし、それぞれの知識をたくさん持っているだけでは、英語を自由に使えるようにはなりません。
たとえば、「apple」という単語を知っていて、「eat」という単語も知っている。「I」という単語も知っている。それでも、「I eat an apple.」という文を、実際の会話場面で自然に使えるとは限りません。
なぜでしょうか。
それは、英語を使うためには、音・単語・文法・意味・場面などの知識が、バラバラではなく、互いに結びついた一つのシステムになっている必要があるからです。
英語を「知識の寄せ集め」にしない
英語の試験では、単語の意味を知っているか、文法を理解しているか、文章を読めるか、といった個別の能力が測られます。そのため、勉強を続ければ、英単語や文法についての知識をどんどん増やしていくことができます。
ところが、英語の試験で高い点数を取れる人でも、実際の会話になると、頭の中にある知識をすぐに取り出して、自由に使えるとは限りません。
これは、知識が足りないというより、知識同士のつながりが十分にできていないことが一つの理由として考えられます。
言い換えれば、「英単語を1000個知っている」ことと、「英語を使って1000個のことを正しく伝えられる」ことは、同じではありません。
子どもの言語習得を考えるときにも、同じです。
子どもは、最初から「これは名詞」「これは動詞」「これは過去形」と文法を整理しながら言葉を覚えているわけではありません。
「お風呂に入ろうね」と言われれば、お湯に浸かって気持ちよくなる。「おなかすいたの?」と言われて、笑えばミルクがもらえる。「マンマ」と言えば食べさせてもらえる。「もっと」と言えば、欲しいものを追加してもらえる。
そうした具体的な経験の中で、音と意味、言葉と行動、言葉と言葉の関係が少しずつ結びついていきます。
そうした結びつきが少しずつ増えていくことで、子どもは、やがて自分でも新しい文を組み立てていけるようになります。
つまり、言語の習得とは、単に「言葉の貯金」を増やしていくことではありません。
知識と経験を結びつけ、言語を一つのシステムとしてつくっていくことなのです。
「単語を知る」と「言葉を使える」は違う
ことばを学ぶとき、「この単語はこういう意味」と一つひとつ覚えていけば、それで十分ではなさそうです。
英語の「look」と「watch」は、どちらも「見る」と訳されます。しかし、「look at the picture」と「watch TV」のように、それぞれの単語の使い方が違います。「borrow」と「lend」も、どちらも「借りる・貸す」に関係する言葉ですが、自分が借りるのか、相手に貸すのかによって使い分けなければなりません。
このように、単語の意味は、その単語だけを見て決まるものではありません。似た意味を持つ言葉や反対の意味を持つ言葉、よく一緒に使われる言葉など、ほかの言葉との関係の中で、その意味や使い方がはっきりしていくのです。
子どもが「犬」という言葉を覚えるときも同じです。「犬」という対象を知るだけでなく、「猫」「鳥」「動物」などの言葉との違いを少しずつ理解することで、「犬」という言葉の意味がより明確になっていきます。
つまり、語彙とは単語をバラバラに並べたものでもありません。たくさんの言葉が互いにつながり、関係し合っている一つのシステムなのです。このような視点からも言葉を豊かにするためには、単語を一つずつ暗記するだけでは不十分です。さまざまな言葉に触れ、それぞれの言葉がほかの言葉とどのようにつながっているのかを経験することが、「使える語彙」を育てることにつながります。

DWEで経験する意味
このように考えると、「英語(ことば)のシステム」とは、単語同士がつながった語彙のネットワークだけではありません。音と意味、単語と単語、文法と意味、さらに言葉と場面や行動までが互いにつながった、より大きなネットワークだと考えることができます。
そして、このような視点から見ると、DWE(ディズニー英語システム)の特徴が少し違って見えてきます。
DWEの特徴の一つは、単語やフレーズを単独で覚えるだけではなく、ストーリーや歌、映像などを通して、英語と意味を結びつける経験を繰り返せることにあります。
たとえば、英語の歌や映像の中で、「音を聞く」→「登場人物の行動を見る」→「自分自身の経験と重ねながら、その場面の意味を理解する」→「同じような表現を何度も聞く」という経験が繰り返されます。
すると、「この英語は日本語では○○という意味」と一対一で覚えるのではなく、「英語の音+言葉+意味+場面+行動」が一緒に結びついていきます。
これは、英語というシステムを頭の中につくっていくうえで、とても大切なことです。
たとえば、子どもが「Come on!」という表現を覚えたとします。
単語帳で「come=来る」「on=上に」と覚えただけでは、「Come on!」が実際にどのような場面で使われるのかは分かりません。
しかし、映像の中で誰かが「Come on!」と言いながら相手を誘っている場面を何度も経験すれば、その音と場面、相手への働きかけが結びついていきます。
そうした経験を重ねることで、実際に誰かを誘う場面で、「Come on!」という表現を使うための土台ができていきます。
これは「英語を覚えた」というより、「英語の使い方を経験した」と考えたほうが近いでしょう。
「英語を勉強する」より「英語で世界を経験する」

小さな子どもにとって、英語を学ぶ方法は、教科書だけではありません。むしろ大切なのは、英語を使っている人の世界をたくさん経験することです。
「歌を歌う」、「誰かに呼びかける」、「何かを見つける」、「驚く」、「喜ぶ」、「怒る」、「誰かを誘う」、「お願いする」、「物を渡す」
こうした一つひとつの経験の中に英語が存在すると、子どもの中で英語の言葉同士がつながり始めます。
「この場面では、この言葉を使う」、「この言葉の後には、こんな言葉が続く」、「この言い方をすると、相手はこう反応する」
そうした経験が積み重なることで、英語は単なる「覚えた知識」から、「使える知識」へと変わっていきます。
もちろん、英語の知識が必要ないという意味ではありません。語彙も必要です。音の知識も必要です。文法も必要です。
ただし、それらをバラバラに覚えるだけではなく、互いに結びつけるためのインプットが必要です。その意味で、幼児期から英語に触れる時間を確保しやすいDWEは、「英語の知識同士をつなげていく」という観点からも意味深い教材だといえます。
「毎日少しずつでも英語を聞く」、「同じ歌や映像を何度も楽しむ」、「親子で一緒に見る」、「実際の生活の中でも使ってみる」
などといった経験を楽しく積み重ねることで、英語が「勉強するもの」ではなく、「意味のあるもの(経験)」として子どもの中に蓄積されていきます。
大切なのは、英単語を何個覚えたかだけではありません。
「どれだけ多くの英語が、意味や場面と結びついているか」そして、「それらの知識がどれだけシステムとしてつながっているか」
ここに、英語を「使える」ようになるための大きな鍵があります。
DWEの価値を考えるとき、「英単語を覚えられる教材」「英語の歌を楽しめる教材」という見方だけでは、その本当の特徴を捉えきれないかもしれません。
DWEは、子どもが英語の音を聞き、意味を理解し、場面を経験し、同じ表現を繰り返し聞くことで、英語という言語のシステムを少しずつ頭の中につくっていくための環境と考えることができます。
英語教育で本当に育てたいのは、「英語について知っている子」ではありません。
「楽しんで英語を使って、人とつながり、世界を理解し、そして自分の思いを伝えられる子ども」です。
そのためには、知識を増やすだけではなく、知識と経験をつなげていくことが大切なのです。


コメント