AIとの対話は新しい語用論の練習場

語用論の事を考えている女の子 コミュニケーション

言葉の“使い方”を見直す

「文法的には正しいけど、なんだか不自然」——この違和感こそが、語用論の出番です。

ちゃ
ちゃ

こんにちは。

「ちゃ」と申します。

娘が3人います。

言語聴覚士として働いています。

コミュニケーションについて沢山考えたいです。

子供達には英語を身につけて、世界中の人とコミュニケーションを楽しんでもらいたいです。

そのために、できる事を日々考えています。

少しでも背中を見てもらえるようにと、英検1級等を取得しました。

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語用論とは何か?

語用論(ごようろん)とは、言葉が使われる「文脈」や「意図」に注目する言語学の分野です。単に「何を言ったか」ではなく、「なぜそう言ったのか」「どう受け取られるか」といった、言葉の裏にある意味や社会的なやりとりの仕組みを探るのです。

外国の方が「この本、あなたに貸してもいいですか?」とあなたに言ったとすると、あなたは
「文法的には正しい。でも、なんだかぎこちない。」と思うに違いありません。

「この本、よかったらどうぞ」なら、もっと自然に聞こえるかもしれません。

「お茶飲みますか?」 というより 「よかったらお茶どうぞ」等の問いかけの方が柔らかく聞こえます。

こうした「文法は正しいけど不自然」な言い回しに注目するのも語用論(ごようろん)です。語用論とは、言葉の意味だけでなく、「誰に」「どんな場面で」「どう話すか」という使い方のルールを探る言語学の分野。”言葉の空気”を読む力とも言えるかもしれません。

AIとの対話における語用論的特徴

AIと話すとき、私たちはどんな言葉遣いをしているでしょう?
敬語で丁寧に話しかける人もいれば、カジュアルに「ねぇ、これ教えて」と言う人もいます。相手が人間ではないからこそ、語用論的な選択が揺らぐ場面も。

さらに、AIは曖昧な指示や婉曲表現をAIなりに読み取ってくれます。

「ちょっとだけ詳しく教えて」や「それってどういうこと?」といった曖昧な言葉にも、AIは文脈を読み取って応答してくれます。

そして何より、「プロンプト(指示文)」という新しい言語行為が登場しました。これは命令とも質問とも違う、AIとの対話特有の語用論的スタイルかもしれません。

実験場としてのAI対話

AIとの会話は、語用論の学習や観察にぴったりの場です。
たとえば、子どもがAIと話すことで、「どう言えば伝わるか」「どんな言い方が自然か」を試すことができます。

また、AI自身も語用論的な応答を学習しています。大量の対話データから、「この場面ではこう返すのが自然」といったパターンを獲得しているのです。これは人間の語用論習得と似ている部分もあり、教育的なヒントになるかもしれません。

英語学習への応用

英語学習では、文法や語彙だけでなく、語用論的な使い方も重要です。
「Can you〜?」と「Would you mind〜?」の違いを理解することは、相手との関係性や場面に応じた言葉選びにつながります。

AIとの対話を使えば、こうした語用論的トレーニングが手軽にできます。たとえば、「この言い方、丁寧かな?」とAIに聞いてみたり、同じ内容を複数の言い方で試してみたり。

  • 子どもに「お願いの言い方」を複数考えさせて、AIにどれが自然か聞いてみる
  • 英語で「依頼」「断り」「提案」などの表現をAIと練習する

まとめ:AIとの対話が語用論を「見える化」する

AIとの会話は、言葉の使い方を意識するきっかけになります。
「正しい」だけでなく「自然な」言葉を選ぶ力を育てるには、語用論的な視点が欠かせません。

そして何より、AIとの対話は失敗しても恥ずかしくありません。だからこそ、語用論の練習ができるのです。

私達(少なくとも私)は実際に失敗しないと学べない事が多くあります。どこかに行く道を覚える時に、一度間違えると、次から間違えず、しっかり道を覚えるという事があります。

英会話も同じで、実際に外国の方に英語を話してみて、「ああ言っておけば良かったかな~?」等と失敗の様な経験を繰り返して、はじめて身につくものが沢山あります。

英語の勉強は reading 等のインプットがメインになりがちですが、それでは失敗をする事が少ないため、分かったつもりになってしまい、実際に身になっていない事も多くあります。

子どもの言葉の学習にしても、英語の練習にしても語用論を含めた”言葉の空気を読む力”を、AIとのやりとりの中で育ててみるのも一つの方法です。

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