
こんにちは。
「ちゃ」と申します。
娘が3人います
言語聴覚士として働いています。
コミュニケーションについて沢山考えたいです。
子供達には英語を身につけて、世界中の人とコミュニケーションを楽しんでもらいたいです。
そのために、できる事を日々考えています。
少しでも背中を見てもらえるようにと、英検1級等を取得しました。
以前に赤ちゃんが母語を獲得する過程と、母語を獲得した者が第二言語を習得する過程が違う話をしましたが、それは単に「他人とコミュニケーションを取るための言葉を習得する過程が違う」という事だけでは無く、「生まれる前から、神様から授かった能力(gifted)をきちんと育む」という事に近いです。
何が言いたいかと言いますと、「赤ちゃんの頃から英語を学ぶ事は大人になってからでは獲得できない物を獲得できる(保持し、育める)」という事です。
それはリスニング力とスピーキング力、そして多様性に目を向ける事ができる異文化理解力が育めるという事です。そして、DWEがそれにうってつけの教材です。

リスニング
乳児は母語の特徴的な韻律パターンを母親のお腹にいる時から学習し始めているようです。そして、母語の単語を区別するために必要な音の単位である音素を見つけるのは誕生後ですが、それも0歳代の時です。
赤ちゃんは誰でも(聴覚障害が無い限り)、生まれてすぐは全ての言語で区別される音をもれなく区別することができます。そして、普段耳から入ってくる周りの音(話し声)を沢山聞くことによって、母語の音素を探索し、音素のレパートリーを作って行きます。「l」と「r」や「b」と「v」等の聞き分けができないと、「light(光)」と「right(右)」、そして「base(基礎、底)」と「vase(花瓶)」等の区別ができません。
英語圏の赤ちゃんは、元々できたこれらの音素を区別する力を保持し、そこに敏感に注意を普段から向ける様になります。しかし、日本語等それらを区別する必要が無い言語で周りが話していると、それらを区別する必要がなくなります。
人間の認知資源(いわゆる脳のキャパシティー)は限られているので、する必要が無い無駄な区別をしなく(できなく)なり、もっと重要な事にそのエネルギーを向ける様になります。
赤ちゃんは母語の学習を効率的に進めていくために、母語に不必要な物への注意力を捨てているのです。
このようにして、赤ちゃんは段々と不必要な音の区別には注意を向けなくなり、次第にできなくなっていきます。
しかし、赤ちゃんの頃からDVDなどでネイティブの英語に触れる事によって、その能力を維持し、英語を学ぶ促進剤となりうるのです。

スピーキング
会話は自分の脳にインプットされた情報を処理して、メッセージとしてアウトプットします。つまり、先ずは、充分インプットして、色々な英語表現を知る事から始めなくてはいけません。
英会話学校などで挨拶や自己紹介などの定型文を英語で言う練習から始める事もあると思いますが、その様な決まりきった言葉を丸暗記する事は、これから沢山、色々な事を英語で言いたいと思っている方にとっては、「付け焼刃」の様なものだと言っても、言い過ぎではないと思います。
それよりも、色々なシチュエーションで使う沢山の単語や表現方法に触れ、理解し、インプットする事から始める必要があります。
DWEでは家事やピクニック、学校生活など色々なシチュエーションを通して、英語での表現をインプットする事がDVDや絵本を通してできます。
子供の英語教育では、特に英語への関心や興味を高める事が大切と言われます。色々な事に興味を持つ赤ちゃんはアニメーションだとある程度の物には興味を向けてくれますが、表出できる様にしっかり、インプットしなくてはならないとなると、繰り返し見る(インプットする)必要があります。
それができるために、色々な生活の場面で目にする事がある、みんなに親しみがあるディズニーキャラクターを通しての英語学習は、繰り返して観てもらえやすいという点で、理にかなっています。
そして親子や兄弟で一緒に観て、アウトプットし合う事で、より楽しい物になります。

異文化理解
日本語を話していると、「お母さんが本を持ってきました。」なんて聞いても、「本を何冊持ってきたのかな?」なんてそんなに気になりません。
しかし、「英語では『book』の前に『a』が付くのか、後に『s』が付くのか、それともみんなが知っている超有名な本で『the』が付くかもしれない」なんて気になったりします。
英語と日本語は単に、「文字が違う」や「単語が違う」、「発音が違う」、はたまた「文法が違う」なんていう表面的な違いに留まらず、「私達の周りの世界のとらえ方(観方)が違う」のです。
英語(の学習)を通して、この様な幅の広い世界の見方が身に付きます。

まとめ
早期から子供に英語を学ばせることの利点として、もっともよく知られているのは「リスニング力」でしょう。
ここではこの他に、スピーキングと異文化理解にも触れましたが、これらは「学ぶ」というよりも「慣れる」に近いかもしれません。小さい頃から「英語に慣れる」事は、大人になってからでは得る事が難しい(時間がかかる)物を効率よく吸収しておくという事です。
「大人になってから英語を学ぶのは遅いのか?」という疑問が湧いてきそうですが、決してそうではありません。
たとえ「light」と「right」が区別できなくても、その時の文脈で理解ができます。
「Get your right hand up! (右手を挙げて!)」なんて言われて、「light(光)?」それとも 「right(右)?」なんて迷いません。
この様に日常の場面でも仕事の場面でも、単語が単体で提示されて、それを聞き分けないといけない場面はほとんどありません。
大人として、英語だけでなく色々な周辺知識を身につけているため、発音を聴き取る以外に、相手の発言内容を理解するための材料は会話やその他の文脈の中に散らばっていて、それを経験などで素早く見つける事ができるという事です。
現在、小さい頃から英語に触れていなかったことによる弊害で英語を話したり読んだりする事に苦労する事はありません。
しかし、いつまでたっても、「L」と「R」をつい言い間違えたり、冠詞の「the」を入れ忘れたり、「She have (本当はhas) …」と言ってしまったりする事があります。それで、コミュニケーションが滞る事はあまりありません(極たまにあります)が、私自身が「アッ間違えた!」と心で呟いたり、相手に少し違和感を持たせたりしてしまう事はあります。
「頭で分かっちゃいるけど…」という状態です。
まだまだ、日本語の様に身についておらず、いわゆる「身体化」はできていない状態です。
この様に、「ある程度、不自由なく英語を使える状態になったものの、まだ少し違和感がある状態」はまだ少し続きそうです。
小さい頃からできるだけ自然な形(子供が能動的に興味を持って言語を吸収する様な自然な形)で英語に触れる事で見いだせるアドバンテージは大きい物があります。そういう意味で、DWEはうってつけの教材と言えるでしょう。
参考文献
今井 むつみ「英語独習法」,岩波書店,2020年
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