中学生になってから、初めて「英語」を勉強する事になり、その時は「Hello, Mike. 」等の教科書の基礎的な英語から日本人の教師が発音する英語を聞きながら、教科書を読んで勉強しはじめたように記憶しています。「その様な勉強方法が間違っている」とまでは言いませんが、赤ちゃんが言葉を習得する過程とは全く違うのは誰もが感じる所です。
この違いに薄々気付いている人達が、英語等の第二言語の早期教育に興味を持つのだと思います。
英語を早期からDWEを使って学習(実は私はこの「学習」という言葉を使うより「慣れる」という言葉を使いたいんです)する利点を挙げ、この教材の活用方法を整理します。
英語を乳児期から聞く(英語の音律パターンに慣れる)
世界中の赤ちゃんは生まれてすぐは、(聴覚障害が無い限り)全ての言語で区別される音をもれなく区別できます。そこから、自分の周りで話されている言葉(母語)の音素を無意識に探索し、その音素に慣れていきます。
例えば、英語の場合であれば、「L」と「R」は違う音素で、それらを区別しないと、「right(右)」と「light(光)」や「rice(米)」と「lice(シラミ)」を区別できません。
そのため、英語を四六時中聞かされている赤ちゃんは、元々区別して聞く事ができていた「L」と「R」の違いを聴き取る能力を保持し、敏感に注意を払う(ってしまう)事ができ(続け)る様になります。
その点日本の赤ちゃんはその(「L」と「R」)様な区別を普段からする必要が無いので、その様な音素に関して、聞き分ける能力が退化していきます。
わたし自身も英語を一所懸命勉強してきて、英検1級を取得できましたが、未だに「L」と「R」の聞き分けがあやふやで、その時の文脈で判断している事が多いです。
以前に、日本語も英語もネイティブのように話す事のできる友人に「L」と「R」の聞き分けのコツを聞いた事があるのですが、「Rの方がLよりすこし低く聞こえるのかな」ぐらいのあやふやな説明でした。この様に、説明しにくい感覚的な能力を乳児期から維持する事のメリットは大きいと思います。
実際は「L」と「R」に限らず「B」や「V」、「S/Z/D」と「TH」等を聞き分ける能力も退化しているので、それらをこの教材で維持できる事のメリットは計り知れません。
(参考:今井むつみ「英語独習法」,岩波新書,2020年12月18日)

単語の意味を直感的に理解できるようにする
私達は「雲」という言葉を聞いたり読んだりしたときにすぐに「⛅」のイメージが頭に浮かびます。ただ、「cloud」というという言葉を聞くとそれを一度「雲」という日本語にしてから、「⛅」のイメージをしてしまう人もいると思います。
日本語:「雲」⇒「⛅」
英語:「cloud」⇒「雲」⇒「⛅」
という具合に。
(今だと、「cloud」はインターネットを通じて、ハードウエアやソフトウエアが無くても、データを保存できたり、特別なサービスを利用できたりするシステムを想像し舞う人も多くいると思いますが…)
英語を日本の中学校で習っていると、この様に英語を一度日本語に訳してから、その意味を理解する作業が恒常化してしまう事がよくあります。
理解を確実なものとし、記憶を定着させるためには、英語を第二言語として習得する人にとっては、それも大切な作業かも知れません。
しかし、そういう作業をしていると、Readingに時間がかかったり、タイムリーな返答が必要な対話の時のListeningで時間がかかり、会話が滞ったりする経験は多くの英語学習者が経験している事と思います。
小さい頃からDWEのDVDや絵本を通して英語に触れておくと、英語で聞いたり読んだりしたものが日本語を介さずに直感的にイメージに変換されやすくなります。

フレーズを覚える
英語学習をしていると「英語のフレーズを覚える事が英会話を上達させる早道だ」という意見をよく聞くことがあります。私自身も、英語を話していて、覚えていた定型文を使って「ネイティブの様にスームーズに返答できた!」と感じる事があります。
その事を実感しているのでこのサイト内にも少しでも英語学習の促進剤になってくれればと思って、「英語のフレーズ」というページを作っています。
上記の様な実際の会話の中での便利さ以外に、英語の文法理解を促進したり、リスニング力の向上に繋がったりもします。
というのも、フレーズが沢山頭の中に入っていると、文法の学習をした時など、「あっ、このフレーズはあの文法に当てはまるな!」等と気付く事があり、理解が促進された経験が私はあります。
また、ネイティブの発話を聞いていると、少し短くしたり、単語をつなげて言ったりして、聞き取れない事がありますが、フレーズに慣れておくだけで、簡単に聞き取る事ができる事があります。
DWEのDVD等には、その様な事に繋がる汎用性のあるフレーズが沢山出てきます。

文法を意識できる
この教材は日常会話を中心にした自然なフレーズが多く含まれます。繰り返し聞いたり話したりするうちに、正しい文法パターンが身に付きます。
学校などで勉強する様に文法を系統立てて意識した捉え方は少なく、それを意識せずに学べる構成ですが、継続する事で自然と文法の理解も深まりいます。
私達が(日本語を)喋る事ができるようになる過程で、「文法」を意識することは余りありません。どちらかというと、「周りがこの様に言っているから」という様な感じで、「文法的に正しい日本語とは」等と考えずに、言葉を覚え、使っています。
しかし、第二言語の習得は一筋縄ではいかず、様々な角度からの学習が必要不可欠です。この教材は、現在形と進行形、そして過去形等の区別をはじめ、基本的な文法を意識的に把握できるような教材の構成になっています。

まとめ
「Listening」や「単語」そして「文法」など様々な利点を挙げましたが、この中でもやはり、「Listening」がこの教材を利用する一番のアドバンテージだと思います。
文法理解やフレーズを覚えることなどは、後からの努力で取り返しがつきますが、先に挙げたように、一度失った、「L」と「R」を聞き分けるようなListeningの能力を取り戻すには大変な労力が必要です。
その能力を維持できるだけでも、大変な価値だと思います。
早期に英語に親しみを覚える事で、聞き取る力を保持するだけでなく、英語に親しみを感じながら、無意識に文法的な分析をしたりフレーズを覚えてしまう事は日本語を獲得していく過程に似ており、より自然な形で学習できると思います。
誰もが知っている事ですが、私達が日本語を自然な形で獲得していくのは、常に日本語でコミュニケーションを取り、それを使って考えている人達に囲まれて生活しているためです。
この教材も、生活の中で自然に触れる事ができる環境設定が必要です。そして、それに繰り返し触れる事で、この教材にあるものを吸収できれば良いと思います。
上記に挙げた様に、Listening能力等の獲得を親が意識して、教材に触れさせてやることが、肝要です。
コメント