書字の歴史
文字の起源は、今から5000年前にメソポタミア地方南部で、メソポタミア文明の基礎を築いたシュメール人の都市ウルクで使い始められた絵文字だと言われています。その後、メソポタミア文明の楔(くさび)形文字(楔形文字 – Wikipedia)、エジプトの象形文字(象形文字 – Wikipedia)等の文字体系が発展してきました。
500万年前にアフリカで出現した人類の祖先の事を考えると、人類史上で文字ができたのはつい最近という事ができます。そして、日本ではもっと最近で、約1500年前の古墳時代に中国から漢字が伝えられたのが始まりのようです。
ちなみに、ハワイはもっと最近で、19世紀頃にアメリカの宣教師がアルファベットを伝えるまで、先住民は文字を持っていませんでした。
文字ができた事により歴史が紡がれ、私達は過去の事を学び、いろいろな事をできているのですが、この辺を整理したいと思います。
書く事の利点
文字を書く事の利点として、最初に挙げるのはやはり、「時空を超えて思いや情報を伝える事ができる」という事です。伝搬距離が限られ、1秒にも満たないうちに消える音声と違い、文字は時空間に偏在できる媒体で、私たちの脳の中以外で保存できる外部メモリーの役割も果たしてくれます。これにより、知識や文化を保存し、多くの人と共有する事が可能になり、教育やコミュニケーションの質が向上しました。
次に挙げる利点は、「考えを整理できる」事です。頭のすごく良い人であれば、頭の中で思索し、色々な考えをまとめる事ができるかも知れませんが、そうでない私なんかは、書く事で色々な視点や思考が整理され、良い学習になります。「アウトプットは最良のインプットの方法」という事もあります。
例えば、ノーベル賞受賞者や経済的な成功者が多いユダヤ人の勉強法の1つでハブルータというものがあります。それは学習者同士が1対1で教えあうというものです。他人に教えるという事は、学習したことをきちんと理解し、咀嚼して、相手に伝わるように自身の言葉で表現することです。一説によると、互いに教えあう学習は単に講義を聞くそれよりも、18倍の効果があると言われています。
また、私がよく参加していた地域の言語聴覚士の勉強会でも、主催する方が「勉強会で3番目に勉強できるのは、他者の発表を聞いている人です。2番目に勉強できるのは発表者に質問した人です。そして、1番勉強できるのは発表者です。」と言っておられました。「責任をもって誰かに伝える(表出する)」という事は自身の中で理解(考え)を整理するという事です。それは書く事(表出する事)にも通じます。
最後に、書く事で私たちは創造性を広げる事ができ、書く事を通して文学や詩等の表現が可能となり、精神的な豊かさを深める事ができます。「情緒を育てる場合において、論理と情緒とを対立する問題としてとらえることは適当でない。物事を直感的にとらえるだけでなく、分析的にとらえることも情緒を豊かにすることにつながるからである。(「情緒豊かな子供を育てる『書くこと』の指導の工夫」より)ともいえると私も思います。書く事で、思索を深め、私達の精神的な活動を広げてくれます。
書く事の意味
私の子供が学校の宿題で作文等を書かされている時に、よく「なんでこんなん書かなあかんの~?めんどくさ~」と言っている事があります。
そんな時に、「ま~、そんなこと言わんと。一回書いてみたら、『意外と悪くなかった』って思えるかもしれへんでー。」と軽く促す事があります。
最相葉月氏の著書「調べてみよう 書いてみよう」の中で「世界中にはさまざまな人がいて、さまざまな考えがあり、さまざまな人生があります。」そして、「世界中にはそのことを教えてくれる文章があふれています。(中略)書く人と読む人が私たちの世界をかたちづくっています。」と書かれています。
書く事により、色々な事を表現できますが、それは一方通行のメッセージではなく、読み手の受け取り方により、そのメッセージの意味は変化します。例えば、「今日、うんこを漏らした」という文章を読んで、ある人は単に「汚い!」と思うかもしれませんが、「あっ、その気持ち分かる~、そんな時恥ずかしいよね~。でも、漏らしたことがあるのが私だけじゃない事にホッとした。」と思う人もいるかも知れません。
この様に、書く事で私達の世界が多様に形作られます。大げさかもしれませんが、書く事は私達の世界を広げてくれると言えます。
こうして文章を綴っていると、この様な世界の広がりを少し感じる事ができます。
思う事
この文章1つとても、色々な事を考えて書く事ができています。
5000年も前に洞窟で絵の様な文字を書いてた人は、まさか遥か未来にその文字がここまで変化し、色々な人の気持ちや現象を表現し、沢山の人をつないでいるとは想像していなかったと思います。
また、この文字が無かったら、ここまでの科学の発展もありえなかったし、芸術も広がっていなかったと思います。
洞窟の壁等に書(描)かれていた文字は、紙の上に書かれるようになり、今やこうしてパソコンやタブレットの電子の世界で綴れるようになりました。そして、文字は未来にはどのような形で広がっていくのか、想像ができません。
ただ、今の私にできる事は、この様に文章を書く事を通して、少しでも世界や未来につなげる何かを残す(想像する)事だけなのかと思います。
少し話がずれそうですが、世界には日本語よりも英語でコミュニケーションをとる人の方が遥かに多くいます。日本語は1億人程なのに対して、英語は15億人を超えるともいわれています。この事を考えると、文章で世界とつながり、広げる為に、英語でも文章を綴っていきたいと思います。
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