このタイトルの様に思った事がある人は沢山いると思います。これは「どうして私達は存在しているのか?」や「私達の起源はどこからか?」の様な疑問にも似ていますが、確かな答えが解かる人はあまりいないと思います。
しかし、「サピエンス全史」という本を読んだ事で、私なりの答えを見つける事ができたと思います。
それは、「私達が生きる意味は無い(かも知れない)。でも、その疑問を持ち、それを探求する力があったからこそ、ここまで社会を反映させる事ができ、今の様な文明を享受できるようになった」という事です。
中学時代
「生きる意味はあるんかな?」
こんな事を中学生の時に思っていました。
今、私は50歳ですが、中学生の時の事を昨日の様に覚えています。いい事も、嫌な事も沢山ありましたが、一言でいえば「良い思い出」となっています。
中島みゆきさんの「トーキョー迷子」という曲の冒頭で「思い出は綺麗 本当より綺麗 ありえぬ程いい人が 心で育つ」という歌詞で始まりますが、(この歌の歌詞は別れた恋人を思ったものですが)その様な感じで、私の中でも、全般的に「中学の時は本当に楽しかったなー」という感じで、良い思い出になっています。しかし、具体的に思い出してみると、沢山の嫌な事もありました。
その様な中学生時代、「なんで生きなあかんのかな?生きる意味はあるんかな?」とよく思っていた事があります。
中村天風
中学生の時だけでなく、何か辛い事があれば、その様に生きる意味を探してしまうのは、人間の性(さが)の様で、私が27歳に時に脳出血を起こし、数か月間寝たきりになった時も強くその様に思っていました。そして、1つの答えを『運命を拓く』という中村天風氏の本からいただきました。
この本には「この宇宙は進化と向上を続けるエネルギーに満ちている」という様な事が書いてあります。そのため、私達の使命は「進化と向上」をする事になるそうです。そして、「私達もそれに従い、積極的な姿勢で生きなければならない」という事をこの本で学びました。この本から受けた影響は計り知れず、「人生は心の置き所次第で、良くも悪くもなるから、できるだけ積極的な心構えで生きよう」という思いで普段から楽しく過ごさせていただけている原動力になっています。
これは、ジェットコースターに乗る時の気持ちとよく似ています。(もしかすると私だけかもしれませんが)ジェットコースターで急なスロープを猛スピードで下る時に、「怖いっ」と思い、身体を後ろに引き気味に乗っていると、本当に怖いのですが、「猛スピードで下る感覚が楽しい!」と思いながら「もっと速くもっと速く」と思いながら前のめりに乗ると全く怖くありません。
この様に考えるようになってから、くよくよと悩むことなく、日々を積極的に(そこそこ)楽しく過ごさせていただいています。そして、気が付くのは、その様な積極的な姿勢を心がけると、「生きる意味」を考える余地が頭の中で無くなっているという事です。その様な事を考えていた頃の事を思うと、心が弱っている時にそんな事を考え、楽しく充実している時はいちいち私達はその様な思いは抱かない事が分かります。
進化と向上する事が使命と思う事は、自身を鼓舞でき、積極的な姿勢を保つのに必要だと思いますが、それは「生きる意味」というより、私自身が良い人生を送る上での心構えの様なものという気がします。
そして、自分なりの解答を得る事ができたのが、最近読んだ「サピエンス全史」という本からです。この本を読んで、冒頭の「私達が生きる意味は無い。でも、その疑問を持ち、それを探求する力があったからこそ、ここまで社会を反映させる事ができ、今の様な文明を享受できるようになった」という答えにたどり着くことができました。
サピエンス全史
「サピエンス全史」という本のタイトルを聞いたことがある人も多いと思いますが、世界で25000万部を突破した大ベストセラーです。この本では、「食物連鎖のピラミッドの中腹にいたはずの人類が、他の人類主や生物を押しのけ、食物連鎖の頂点に君臨する事ができ、文明を築いた」理由を明らかにしてくれています。
その理由は「人間には物語(虚構)を想像する力があったから」だそうです。
言葉(の様なもの)を話したりして、他者に何かを伝える事ができる動物は他にもいますし、その様な能力を持った他の人類種も存在したといわれています。しかし、認知革命で私達ホモサピエンスだけが、物語を想像し、それらを伝える事ができたので、その他の人類主を滅ぼし、一人勝ちする事ができたと書かれています。
例えば、「神様が私達の先祖を正しい道に導いてくれた」という様な神話を創造すると、沢山の人の心を打つ事ができ、時空を超えて多くの人を同じ方向に向かせる(同じ事を信じさせる)事ができます。それは、昔は「神様が私達に教えてくださったからその教えに従わなければならない」という様な「宗教」に代表されるものでしたが、今は「法律」となり、私達を守り、社会を整え、繁栄させてくれています。
高齢者が運転する車の事故で、人が亡くなったことを受け、高齢者の運転免許に関する規制や新しい法律ができた事がその一例です。その様な事故で無くなった方々は、昔でいう私達の「神様」に生まれ変わって、今の私達を守ってくれているという事ができると思います。
上下巻で500ページを超えるこの本では、上記の事以外にも、「農業革命」や「科学革命」にも触れ、一貫して、「その様な革命を経て発展し、人間は幸せになったのか?」という事について書かれています。
この本には、上記した様に様々なホモサピエンスの歴史について書かれています。そして、それぞれの項目に対して、色々な感想を抱いたのですが、私の抱いた最終的な感想は、「私達が生きる理由を示してくれた」という事で、それは冒頭の「私達が生きる意味は無い。でも、その疑問を持ち、それを探求する力があったからこそ、ここまで社会を反映させる事ができ、今の様な文明を享受できるようになった」という事です。
つまり、私達は生きている限り、色々なメッセージを発信し続けなければならず、そのメッセージを後に生きる人が受け取り、それを糧に、より良い未来の社会を築いてもらわなければならないという事です。
「生きる意味」は私たち自身が生きている間は分からないかも知れません。それは私達が死んでから、後世の人が意味付けをしてくれるという事です。
私の好きなアニメ・進撃の巨人の1シーンで、巨大な敵にみんなで特攻して死にに行こうとするシーンで、団長のエルヴィン・スミスが部下たちに同じような意味合いの事を言いています。
「幸福な人生を送る事ができたとしても、岩で身体を砕かれても同じだ。人はいずれ死ぬ。ならば、人生に意味は無いのか。そもそも生まれてきた事に意味は無かったのか。死んだ仲間もそうなのか。あの兵士たちも無意味だったのか。 いや違う。あの兵士達に意味を与えるのは我々だ。あの勇敢な死者を、哀れな死者を思う事ができるのは、生者(せいじゃ)である我々だ。我々はここで死に、次の生者に意味を託す。それこそ唯一、この残酷な世界に抗(あらが)う術(すべ)なのだ。」 進撃の巨人 53話 より |
子供達が生まれて
思春期を経て、色々と悩む事は多くありましたが、「生きる理由は分からないけど、死ぬ理由も分からない」ので、目の前の事をこなし、私なりに可笑しく楽しく生きてきました。そして、大人になり、子供達が生まれてからは、いちいちその様な気持ちを抱かず、只々「子供達に出会えた事に感謝」して生きています。今はその喜びに包まれて毎日幸せに暮らしていますが、その子供達もこのタイトルの様な疑問にぶち当たる事もあると思います。
その1つの答えとして冒頭の、「私達が生きる意味は無い。でも、その疑問を持ち、それを探求する力があったからこそ、ここまで社会を反映させる事ができ、今の様な文明を享受できるようになった。」という事を1つの答えとして、未来のために今を一所懸命生きて欲しいと思ています。
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