進化とは「親から子、そしてその孫・・・」のような長い年月をかけて、生物が少しずつ、獲得してきた能力の向上のようなイメージを(少なくとも私は)持ちますが、人間は(人間の社会は)本当にその様な生物として優れた能力を代々向上し続けて、発展してきたのでしょうか。「優生学」の視点から言うと、「優れた親から生まれた子がさらに優れた孫を作りそしてその後を続ける」というような過程で向上し続けてきた様に感じます。しかし、人間の発展はその様な単純なものでもないようです。
約20年前に読んだ本の話になるのですが、「平然と車内で化粧する脳」という本がありました。著者は澤口俊之先生で、最近では「ほんまでっかTV」などで半分コメディアンのような立ち位置で、時々トンチンカンで突拍子もないことを言い、明石家さんまさんにツッコミを入れられたりしている方です。
その本の趣旨としては、「私たちは脳の〝前頭連合野″という部分を使い社会の中で生きているのですが、そこの能力は生得的に獲得するのではなく、社会の中で他人の事を考えたりしながら生きる過程で能力を発達していく」というような趣旨でした。
その中で「人はネオテニーで進化した」と主張されています。
ネオテニーとは「幼体成熟」ともいい、幼生形のまま生殖巣が成熟し、繁殖する現象のことです。想像しやすいのが、「ウーパールーパー(アホロートル)」です。カエルのようにオタマジャクシから成長して、カエルのような大人になるのではなく、オタマジャクシのような幼い姿を留めながら、子孫を残していく事をそのように言うそうです。
人もネオテニー的な特徴があるようです。チンパンジーと人は赤ちゃんの頃は毛も少なく、顔も平面的で、頭も丸いのですが、チンパンジーは大人になるにつれて顎が前に突き出たり、体毛が濃くなったりします。しかし人は大人になっても、体毛がチンパンジーより濃くならなかったりして、赤ちゃんの時の様相を留めたまま、成熟します。顔つきや体型だけでなく、行動面でも人は子供っぽい特徴を数多く持っています。その中でも際立っているのが、未知なるものへの好奇心・探究心です。
猫や犬を育てたことのある人はよくわかると思いますが、子猫や子犬の時には好奇心や探究心が旺盛で色々な物に興味を示し、よく遊びます。しかし、成熟すると、好奇心が減り、子供の時ほど遊ばなくなってしまいます。しかし人間は違い、大人になってからでも好奇心や探究心を持ち続けて、学習することを止めようとしません。それが人間たらしめる重要な要素だそうです。
脳が幼いほど柔軟に対応でき、環境に適応できるという事だと思います。この事は偉人におねしょの治りが悪かった人が多い事にも繋がるような気がします。例えば、アインシュタインやエジソン、そして坂本龍馬が大きくなっても、おねしょをしていたそうです。おねしょは前頭葉の発達とともに治る事は生理学的に明らかだそうで、その治りが遅いということは、前頭葉の発達も遅く、ネオテニー化が進む(年月を重ね成長しても、柔軟な思考で環境の変化に対応できる)事につながるのかなと思います。
例えば、視力や聴力そして第六感のような言語化しにくい感覚などは、おそらく昔の人々の方が現代人よりも優れていたのではないかと思います。そのような能力は後退していると思われます。そういう意味では進化は進んでないと言えますが、脳機能の柔軟性によって、変化の激しい人間社会の変化の中で、その環境に応じた適応ができるのが私たちであり、それが進化するということなのかと思います。
歳をとると頑固になると言われますが、歳を重ねても変化し続けることに挑戦していきたいと思います。
コメント
>脳が幼いほど柔軟に対応でき、環境に適応できるという事だと思います。この事は偉人におねしょの治りが悪かった人が多い事にも繋がるような気がします。例えば、アインシュタインやエジソン、そして坂本龍馬が大きくなっても、おねしょをしていたそうです。
龍馬については知っていましたが、アインシュタインとエジソンもだったとは知りませんでした。私も、小学校5年くらいまでおねしょをしていて、病院にまで連れて行かれました。。(^^;
私も転職組でST30年ほどやってます!Chyaさんの人生やこのお話も励みになりました!
お互い、しっかりST道に励みましょう!!
あまり投稿していないブログを見つけていただきまして、ありがとうございます。
STとしての投稿よりも他の物が多くなりそうですが、STとしても研鑽して、投稿していきたいと思います。コメント、本当にありがとうございました。