難関の英検1級の1次を通過すると次も難関の2次試験の面接をパスしなければなりません。その面接の内容や私が行った対策と注意する点、そして実際に試験を受けた感想などについて、皆さんにお伝えできればと思います。
概要
時期
一次試験日から約2週間で合否が発表され、さらにその1ヶ月後にの二次試験が行われます。
時間
1級の二次は午前中で、受付を通ってから終わるまで、約1時間です。面接自体の時間は約10分です。
内容
英語での「自由会話」、「テーマに沿ったスピーチ」、そして「スピーチに関する質疑応答」という3つのセクションに分かれます。
セクション | 内容 | 時間 |
自由会話 | 面接官と簡単な日常会話を行う | 不定 |
スピーチ | 与えられた5つのトピックの中から1つ選び、スピーチを行う。 | トピックを選び解答を考える時間:1分 スピーチ時間:2分 |
質疑応答 | スピーチの内容やトピックに関連した質問に答える。 | 3~5問:約4分 |
評価
二次試験の合格点はCSEスコアーで850点満点のうち602点以上です。配点は「スピーチ」、「質疑」、「文法・語彙」、そして「発音(流暢さ)」の採点項目があり、各10点が割り振られています。
→602点以上で合格のため、40点満点中28.32点がそれに該当します。つまり各セクションで7点以上は必要になります。
Short Speech | 10点 |
Interaction | 10点 |
Grammer and Vocabulary | 10点 |
Pronunciation | 10点 |
Topic
Topicについてはそれぞれの厳密な出題頻度は異なるようですが、writingのtopicと同じで「政治・国際関係」、「経済・ビジネス」、「文化・スポーツ」、「科学技術」、「メディア」、「環境」、「教育」、「法律・犯罪」、「ジェンダー・家庭」、「医学・健康」等になります。
対策法
Short Speech
Short Speech で出題されるTopicについてはwriting対策で用意した、自分なりの文章を使用しました。しかし、少しwritingで準備した物より短してました。
writingでは…
第1段落 (introduction)
①第1センテンス:問題文等の文章を言い換えて結論を表現
②第2センテンス:第2~第4段落のまとめ
第2段落(body)
③第1センテンス:理由1
④第2センテンス:理由1の事例
⑤第3センテンス:理由1のもう1つの事例か、理由1のまとめ等
第3段落(body)
⑥第1センテンス:理由2
⑦第2センテンス:理由2の事例
⑧第3センテンス:理由2のもう1つの事例か、理由2のまとめ
第4段落(body)
⑨第1センテンス:理由3
⑩第2センテンス:理由3の事例
⑪第3センテンス:理由3のもう1つの事例か、理由3のまとめ
第5段落(conclusion)
⑫第1センテンス:第2段落~第4段落のまとめやこれからの課題
⑬第2センテンス:結論を言い換えて表現し文章をまとめる
というものでした‥‥
writingではword数を稼ぐために、少しword数を増やす努力をしていましたが、このshort speechでは2分間という制約があるため、writingよりも少し短くする事を考える必要があります。
具体的には‥‥
①第1センテンスのintroductionで問題文等の文章を言い換えて結論を表現(3つの理由も一緒に)
例えば「Some people may say(自分と逆の意見), but I believe(自分の意見) because(理由①), (理由②), and(理由③).」
次にbodyに入り
②bodyの第1センテンス:理由①
例えば、「First,(理由①)」
③次に、理由①の事例等として
「For example, ‥‥.」
④次に、bodyの二つ目として
「Second,(理由②)」
⑤次に、理由②の事例等として
「For instance, ‥‥.」
⑥次に、理由の3つ目ととして
「Finally,(理由③)」
⑦次に、理由③の事例
(3つ目の理由や事例は時間の制約があるので、省いたり短くしたりしても良いです。)
⑧最後に結論として
「In conclusion, I believe(自分の意見) because(理由①), (理由②), and(理由③).」等とのべます。
という風に、introductionと conclusionは1センテンスにまとめbodyの理由と実例等の2センテンス程度に収めるイメージです。
Q&A
Short speechを終えるとすぐに、面接官とtopicに関する事やそこで話した事に関する事柄の質疑応答があります。
この事に対する対策は少ないですが、1つだけ忘れてはいけないことがあります。それは、質問に対する答えは必ず「回答を述べてから、必ず理由を述べる」という事です。
具体的には‥‥
「Do you believe that a mandatory retirement age is wrong?」という質問に対しては「Yes, I do. Because nowadays, many workers are getting younger and mentally and physically fit well into their old age. 」という具合です。
この様に、「Yes」か「No」等(これはclosed questionの場合でopen questionの場合の回答は具体的な事象を述べたりします)で端的に答えた後すぐに「Because‥‥」と続け、その回答の理由や根拠を必ず述べるようにします。
Q&Aの時間は4分程度となっていますが、ここでは時間の把握の必要は全く必要ありません。(時間の管理は試験官の隣に座っているタイムキーパーがしてくれます。)
また、各質問に対する回答時間には制限がないので、答える回答の長さはこちらの裁量で短くもでき、長くもできます。
1つひとつの質問に点数が付くと仮定して考えると、回答した質問の数が多いほど、リカバリーがきくと思います。(たとえ、1つの質問で上手く答えられなかったとしても、質問の数が多いほど、その回答に失敗した質問の比重が軽くなるので、回答数は多い方が良いと思います。)つまり、試験官からしてもらう質問は多い方が失敗しても良いと言えるという事で、明瞭簡潔に答える事を心がけ、質疑応答のテンポを上げ、4分間にできるだけ沢山質問してもらう事が重要だと思います。
short speechと違い、出題内容の予測は難しいのですが、臨機応変な対応が求められます。この試験で測られている能力としては英語力はもちろん、logical thinking &problem solving(論理的思考力と問題解決力)があります。その事を念頭に、普段から、物事を整理してlogical に考えるようにしましょう。
short speechはもちろんですが、その他の採点項目になっているInteractionや Grammer and Vocabulary、そしてPronunciationの全てにおいて、一番大切な事は「わかりやすさ(clarity))」です。そのため、語彙の選択が間違っていたり、発音が分かりにくかったりすると、スコアーが低くなる原因になります。そのため、自信の無い単語や文法を使って表現する事は避けましょう。そして、簡単な言い回しになっても、確実に伝わる表現を心がけましょう。
まとめ
わたし自身は、writing課題で、他のセクションより比較的良い点数を取っていたので、文章で何かを説明したり、自分の意見を述べたりする事はどちらかと言うと、得意な方でした(少なくとも私自身はそのように思っていました)。そのように思ってしまっていたため、short speechの練習はろくにせずに面接試験に挑んでしまいました。そのため2次試験に2回落ちてしまい、3度目の面接の前になってようやく、具体的に2分間を測りながら、ぶつぶつと独り言を言うようにして、練習しました。
普段、2分間で何かを人に伝えるという機会がないので、それを時計を見ずに行うと、どれぐらいの長さに感じるのかという事が分かっていませんでした。そのため、きちんと自分でタイマーを使って練習をせずに二次試験に挑んだ、1回目と2回目のshort speechでは時間が全く足りず、中途半端な所で打ち切られてしまいまし た。時計を腕にしていましたが、それを見る余裕とタイミングは全くありませんでした。
1回目に不合格になった時は、「得意なtopicが選択肢に無かったから、うまくpresentationをできなかった」ぐらいの振り返りでした。2回目の時は、明らかに時間管理ができていなかったため、結論を言う前に時間が経ってしまいました。そこでやっと、時間管理の大切さに気が付きました。そして、タイマーを使い何回も練習をしていると、感覚としてつかめてきました。3回目の面接の時はほぼ、2分ちょうどでspeech を終える事ができました。
何回も2分間をタイマーで測って、short speechの練習をしていると、あまり意識を時間に向けなくても、誤差約10秒以内でspeechを終える事ができるようになりました。ですので、その(2分を測ってspeechをする)練習は省かず、やる事は必須だと思います。
この2分間の勘は5年後に受験した通訳案内士の2次試験の時まで残っていました。一度自転車を乗れるようになった人が、しばらく乗らなくても乗れるように、少し練習しただけで、その勘が戻るのを実感し、実際の試験の時も、ちょうど2分間でspeechを終える事ができました。
二次試験対策によく、「文章を予め考えて、それを何回も音読して覚える」と説明されているのを聞いたり見たりしますが、私は何回音読しても、覚える事ができる気がしませんでした。ですので、主にやったこととして、「For instance, ‥ 」や「I believe‥」そして、「 ‥can contribute to‥」など、汎用性の高い言い回しを確実に覚えて、あとは色々なTopicのキーワードとなる単語やBodyとなる理由等をすぐに思い出せるようにしました。
あるインターネットのサイトで「面接を試験と思わず、人間同士の会話と思ったほうがいいということでした。面接官が怖めの方かもしれないですし、試験中緊張するとは思いますが、面接官の方も同じ人間です。会話を楽しむ気持ちでいきましょう。」とありました。(参考:元試験官にきいた!英検1級の二次試験(面接)のコツ|みや (note.com))
実際、私自身が合格した時の面接も、「上手くできて、合格した」という感想よりも、「試験官の方に私の主張に納得してもらい、会話を楽しめた。」という感想を持って、試験会場を出る事ができた事を覚えています。
感想
「英検1級の1次試験の内容が難しく、それさえ通過すれば、そこで勉強した下地があるので、2次試験対策はそれほどしなくて良い」と思っていました。しかし、「それは、的外れではないものの、少し期待を裏切られた」という印象です。実際、2度、二次試験に失敗したところでやっとお尻に火が付き、対策を講じました。
対策としては上記の通り、2分間でShort Speechを収める事や、Key WordやPhraseを覚える事が中心でした。しかし、それ以上に合格を勝ち取るPointとなったのはPlane Englishを重点に置いたClarity(わかりやすさ)を大切にした事と自分の意見をきちんと述べられるTopicを選んだ事だと思います。
発音に自信があり、普段からネイティブと会話をしているという方と違い、私は普段あまり英語を話す機会がなく、発音も典型的なJapanese Englishなので、実直にPlane Englishを心がけて、きちんと伝える事を大切にしました。今振り返っても、その実直さの様な、飾らなかったところも主張が素直に受け入れられた要因かと思います。
また、受け取ったカードに書かれた5つのTopicには試験前に練習していたTopicが他にありましたが、結局私が選んだのは、普段良く考えている「努力は才能を上回るか」というTopicを選びました。おそらく、Short Speechは前者の方がスムースに言えたと思いますが、普段から「努力の大切さ」についてよく考えているので、Q&Aでは色々な角度から質問されても、全ての質問に対して、明確に納得していただける回答ができたと思います。
面接官と会話を楽しむためにも、「自分の得意分野で会話を楽しむ事」が一つの大切なPointで、私が合格できた理由のひとつだと思っています。